現役ガイドが教える
屋久島登山の持ち物リスト

屋久島の登山は長距離、長時間。
雨が多く天候の変化も早い屋久島の山では何が必要か?
実際に山を歩いているガイドが解説します。

屋久島の登山は、ガイドを付けずに自分たちだけで歩く方も多くいます。その場合、装備の判断も自分でしなければなりません。このページはガイドなしで縄文杉・白谷雲水峡へ向かう方に向けて、必要なものと、そうでないものを分けて書いています。

屋久島トレッキングで絶対に必要な物

屋久島に限らず、トレッキングに必要な基本装備です。以下の装備は天候にかかわらず、必ず準備してください。

  • レインウェア上下が分かれたものを準備してください。100均やホームセンターのビニールカッパは、歩いている間に破けます。作業用のレインウェアも、すぐに雨宿りができる前提なので、長時間の雨に降られる想定で作られていない場合があります。
    ポンチョは高い段差で裾を踏んで転びます。山道では傘をさして歩きません。
    雨が降っていなくても必須です。出発時に晴れていても、午後は雨。山ではよくある天候の変化です。
  • トレッキングシューズ濡れた木の根と岩の上を歩きます。スニーカーではソールの溝が浅いため滑りやすくなります。またソールが柔らかいため疲れやすく、長時間歩くと足の裏も痛くなりやすいです。
    ミドルカットのトレッキングシューズであれば足首も疲れにくくなります。Gパンとサンダルは論外です。
  • リュック両肩で背負うもの。日帰りなら30L前後。片方の肩にかけるバッグでは、バランスが取りにくく疲れます。山仕様のリュックであれば腰のベルトなどでリュックの重量を分散させるので、肩も痛くなりにくくなります。
  • ヘッドライト縄文杉は暗いうちに歩き始めます。10月中旬〜3月末は必須。日の長い時期は出番が減りますが、下山が遅れれば夏でも暗くなります。時期を問わず持っておいてください。
  • 携帯トイレ縄文杉ではトイレのない区間が4.5〜5時間あります。知らずに入る方も多く、そして最も困るのがこれです。シャトルバス乗り場や観光協会などで購入できます。
    100均やホームセンターの物は、リュックに入れて持ち運ぶ前提になっていない物が多いので、使用後に破れにくい物を準備してください(島内で販売されている物が確実です)。
  • 食料(朝・昼の2食)縄文杉トレッキングなど、早朝出発の登山では必須です。宿や登山弁当屋さんに、前日までに弁当を頼んでおく必要があります。
  • 行動食一日がかりの登山では、お弁当だけではカロリーが不足します。カロリーメイトやパン、飴、チョコレート(夏場はNG)など、カロリーの高い物を準備してください。意外と、塩気のあるポテトチップスなども山ではとても美味しく感じられます。
    空腹は急な体調不良も起こします。充分な量を準備しましょう。
    私はいつも塩大福を持って行きます。
  • 飲み物
    500ml×2本程度
    白谷雲水峡などの短いコースは1本で足ります。山中には1時間に一か所は給水ポイントがあるので、2L、3Lと大量に持ち歩く必要はありません。
  • 保険証のコピー怪我をしたときのためです。マイナンバーカードを保険証として使っている場合は、現物を持参してください。
何年も履いていない登山靴は、山で靴底が剥がれます

登山靴のソールは、履かずに置いておくだけで劣化します。3年以上使っていない靴は、見た目に問題がなくても、歩いている途中で剥がれることがあります。
屋久島で最も多い落し物は、靴底です。
山の中で靴底が剥がれてしまうと、歩いて下りることができなくなります。久しぶりに履く靴は、事前に短い距離を歩いて確かめてください。

ここで差が出る!3つの装備

意外と知られていない、街仕様との違い。

1腰ベルト付きのリュック

よくある質問「普段のリュックで良いですか?」

山仕様が絶対おすすめです。街のリュックは肩だけで背負う作りで、10時間歩くと肩や首に負担が集中して痛くなります。山用は腰ベルトで荷重を骨盤に逃がす構造なので、同じ重さでも疲れ方がまったく違います。

雨対策として、ご自身のリュックにレインカバーだけを足す方もいらっしゃいます(当社では¥300でお貸ししています)。ただ、それでは肩に荷重が集中する問題は残ったままです。
当社のリュックは¥1,000でレインカバーが付属しますので、差は700円。その700円で、腰ベルトの効果も一緒に得られます。

街のリュックは肩だけで荷重を支えるのに対し、山用リュックは腰ベルトで骨盤に荷重を逃がすことを示した図
同じ重さでも、支える場所が違います。10時間歩くと、この差がはっきり出ます。

2トレッキングポール(2本での利用を推奨)

なくても登れます。ただ、あるとないとで下山が大きく変わります。

下りでは、一歩ごとに体重の何倍もの力が膝にかかります。ポールがなければ、それを両足の2点だけで受け止めることになります。ポールがあれば接地点が4つに増え、膝の負担がかなり軽くなります。
「ポールがあったから登れた」というゲストも多いです。

下山は延々と下り坂が続くので、この差は翌日の疲れにもはっきり出ます。当社ではより高い効果が得られるように、2本1組でお貸ししています——1本だけだと体が左右に傾き、効果が減ります。

ポールなしでは両足の2点だけで下り坂の体重を支えるのに対し、ポールありでは両足と2本のポールの4点で支えられることを示した図
ポールなしは接地点が2つ。ポールを突けば4つに増え、腕にも荷重を分けられます。

3ヘッドライト

縄文杉は、夜明け前に歩き始めます。

手に持つライトでは片手が塞がったまま、暗いトロッコ道を進むことになります。しかも光が手の向きにしか向かないので、足元は見えても、先の道が見えません。

ヘッドライトなら見ている方向がそのまま照らされ、両手も空きます。足を滑らせたときに手が出せるかどうかは、安全に直結します。
当社は照度の高いモンベル製のヘッドライトを貸し出しているので、遠くまでしっかり照らすことができます。

日の長い時期でも、持っていってください

夏場は明るいうちに歩き始められるので、ヘッドライトの出番は減ります。それでも持たずに入るのは避けてください
ガイドが同行していれば、行程の遅れに合わせて引き返す判断をします。しかしご自身だけで歩く場合、写真を撮ったり、休憩が延びたり、体調を崩したりで、下山が予定より大きくずれることがあります。夏でも、遅れれば日は落ちます。
暗くなってから「持ってくればよかった」と気づいても、そこには何もありません。使わずに終わるのが一番いい装備だと考えてください。

手持ちライトでは片手が塞がり手元しか照らせないのに対し、ヘッドライトは両手が空き視線の方向を広く照らせることを示した図
手に持つライトは、手の向きにしか光が向きません。ヘッドライトなら見ている方向がそのまま照らされます。

季節ごとの服装

屋久島は「月に35日雨が降る」と言われます。同じ縄文杉でも、行く時期で必要なものが変わります。

素材で一つだけ

綿(コットン)のシャツやGパンは避けてください。濡れると乾かず、体温を奪い続けます。速乾性の化繊素材を選ぶだけで、山での快適さがまったく変わります。

時期服装の目安この時期に効く装備
4〜5月長袖・長ズボン、フリース、手袋朝晩が冷えます。防寒着は必ず1枚は準備
6〜7月初旬長袖・長ズボン、薄手のアウター梅雨。レインウェアが特に大事な季節
7月中旬〜9月末半袖、薄手の羽織るアウター、ハーフパンツ、スポーツタイツ日照時間が長くヘッドライトの出番は減ります。熱中症・日焼け対策を
10〜11月長袖・長ズボン、薄手アウター、フリース10月中旬からヘッドライトが必須に
12月長袖・長ズボン、フリース、薄手ダウン山頂部は平地と気温が10℃以上違います
1〜3月ダウン、フリース、手袋、防寒具一式路面凍結。チェーンスパイクの検討を
島の気温で判断しないでください

屋久島は海抜0mから1,900mまである島です。宮之浦や安房が暖かくても、山の上はまったく別の気候になります。「3月なのに雪」も珍しくありません。低体温症は夏でも起こります。

「持って行けばよかった」と言われるもの

下山してきた方からよく聞く後悔を、先に書いておきます。

  • 着替え
    Tシャツ・インナーシャツ
    濡れたままの服は体温を奪い続けます。途中のトイレなどで着替えるだけで、グッと寒さが和らぎます。
    濡らさないようジップロックに入れて、1枚程度は持っておきましょう。
  • 折りたたみ傘意外に思われますが、食事のときと写真を撮るときに重宝します。レインウェアの代わりにはなりません。
  • ゴミ袋(数枚)濡れたものを入れる、荷物を雨から守る、ゴミを持ち帰る。軽いのに用途が多く、重宝します。

逆に、要らなかったもの

荷物は軽いほど楽です。持って行きがちだけれど、実際には使わないものもあります。

  • 大きすぎるリュック日帰りに45L以上は不要です。大きいと荷物を詰めたくなり、その分だけ重くなります。
  • 着替えの持ちすぎTシャツ・インナーシャツを1枚。それで十分です。途中のトイレなどで着替えられます。
  • 大量のモバイルバッテリー山の中は電波が通じません。歩き出す前に機内モードにしておけば、最近のスマートフォンは一日中もちます。予備を何個も持つ必要はありません。
  • 化粧品普段のポーチをそのまま持ってくると、意外なほど重くなります。山では最低限で十分です。
  • 時期外れのチェーンスパイク凍結の可能性がない時期には不要です。重いだけになります。
  • 熊鈴本土の山では一般的な装備ですが、屋久島に熊はいません。

借りるか、買うか

これから登山を続けるなら、買った方がいい。一度きりなら、借りた方が合理的です。

装備購入した場合当社で借りた場合
(1泊2日)
トレッキングシューズ15,000〜30,000円1,300円
レインウェア(上下)20,000〜50,000円1,300円
リュック 30L(カバー付)10,000〜25,000円1,000円
トレッキングポール6,000〜15,000円1,000円(2本1組)
ヘッドライト3,000〜8,000円500円
合計54,000〜128,000円5,100円
5点セットなら 4,500円

屋久島の登山だけのために揃えるなら、レンタルがおすすめです。

  • 旅行の荷物が減る
  • どろどろになったシューズやリュックを持ち歩かなくて良い
  • 常にメンテナンスされている
  • ノーブランドではなく、登山ブランドの装備を使える

また、何年も履いていない登山靴が家にある場合も、借りた方が安全です。ソールは使わなくても劣化します。屋久島まで来て、山の中で靴底が剥がれてしまうと、その日の登山はそこで終わりです。

一方で、これから登山を続けるつもりなら、購入をおすすめします。常に使う物に慣れておくことが大事です。
「屋久島で本格的な登山に初挑戦。これからも続けるかもしれない」という方は、まず本格装備をレンタルでお試しください。

必要なものだけ、必要な日数だけ

ご宿泊先までお届けし、返却は空港近くの返却BOXへ。取りに行く手間も、持ち帰る手間もかかりません。

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