屋久島の登山は長距離、長時間。
雨が多く天候の変化も早い屋久島の山では何が必要か?
実際に山を歩いているガイドが解説します。
屋久島の登山は、ガイドを付けずに自分たちだけで歩く方も多くいます。その場合、装備の判断も自分でしなければなりません。このページはガイドなしで縄文杉・白谷雲水峡へ向かう方に向けて、必要なものと、そうでないものを分けて書いています。
屋久島に限らず、トレッキングに必要な基本装備です。以下の装備は天候にかかわらず、必ず準備してください。
登山靴のソールは、履かずに置いておくだけで劣化します。3年以上使っていない靴は、見た目に問題がなくても、歩いている途中で剥がれることがあります。
屋久島で最も多い落し物は、靴底です。
山の中で靴底が剥がれてしまうと、歩いて下りることができなくなります。久しぶりに履く靴は、事前に短い距離を歩いて確かめてください。
意外と知られていない、街仕様との違い。
よくある質問「普段のリュックで良いですか?」
山仕様が絶対おすすめです。街のリュックは肩だけで背負う作りで、10時間歩くと肩や首に負担が集中して痛くなります。山用は腰ベルトで荷重を骨盤に逃がす構造なので、同じ重さでも疲れ方がまったく違います。
雨対策として、ご自身のリュックにレインカバーだけを足す方もいらっしゃいます(当社では¥300でお貸ししています)。ただ、それでは肩に荷重が集中する問題は残ったままです。
当社のリュックは¥1,000でレインカバーが付属しますので、差は700円。その700円で、腰ベルトの効果も一緒に得られます。
なくても登れます。ただ、あるとないとで下山が大きく変わります。
下りでは、一歩ごとに体重の何倍もの力が膝にかかります。ポールがなければ、それを両足の2点だけで受け止めることになります。ポールがあれば接地点が4つに増え、膝の負担がかなり軽くなります。
「ポールがあったから登れた」というゲストも多いです。
下山は延々と下り坂が続くので、この差は翌日の疲れにもはっきり出ます。当社ではより高い効果が得られるように、2本1組でお貸ししています——1本だけだと体が左右に傾き、効果が減ります。
縄文杉は、夜明け前に歩き始めます。
手に持つライトでは片手が塞がったまま、暗いトロッコ道を進むことになります。しかも光が手の向きにしか向かないので、足元は見えても、先の道が見えません。
ヘッドライトなら見ている方向がそのまま照らされ、両手も空きます。足を滑らせたときに手が出せるかどうかは、安全に直結します。
当社は照度の高いモンベル製のヘッドライトを貸し出しているので、遠くまでしっかり照らすことができます。
夏場は明るいうちに歩き始められるので、ヘッドライトの出番は減ります。それでも持たずに入るのは避けてください。
ガイドが同行していれば、行程の遅れに合わせて引き返す判断をします。しかしご自身だけで歩く場合、写真を撮ったり、休憩が延びたり、体調を崩したりで、下山が予定より大きくずれることがあります。夏でも、遅れれば日は落ちます。
暗くなってから「持ってくればよかった」と気づいても、そこには何もありません。使わずに終わるのが一番いい装備だと考えてください。
屋久島は「月に35日雨が降る」と言われます。同じ縄文杉でも、行く時期で必要なものが変わります。
綿(コットン)のシャツやGパンは避けてください。濡れると乾かず、体温を奪い続けます。速乾性の化繊素材を選ぶだけで、山での快適さがまったく変わります。
| 時期 | 服装の目安 | この時期に効く装備 |
|---|---|---|
| 4〜5月 | 長袖・長ズボン、フリース、手袋 | 朝晩が冷えます。防寒着は必ず1枚は準備 |
| 6〜7月初旬 | 長袖・長ズボン、薄手のアウター | 梅雨。レインウェアが特に大事な季節 |
| 7月中旬〜9月末 | 半袖、薄手の羽織るアウター、ハーフパンツ、スポーツタイツ | 日照時間が長くヘッドライトの出番は減ります。熱中症・日焼け対策を |
| 10〜11月 | 長袖・長ズボン、薄手アウター、フリース | 10月中旬からヘッドライトが必須に |
| 12月 | 長袖・長ズボン、フリース、薄手ダウン | 山頂部は平地と気温が10℃以上違います |
| 1〜3月 | ダウン、フリース、手袋、防寒具一式 | 路面凍結。チェーンスパイクの検討を |
屋久島は海抜0mから1,900mまである島です。宮之浦や安房が暖かくても、山の上はまったく別の気候になります。「3月なのに雪」も珍しくありません。低体温症は夏でも起こります。
下山してきた方からよく聞く後悔を、先に書いておきます。
荷物は軽いほど楽です。持って行きがちだけれど、実際には使わないものもあります。
これから登山を続けるなら、買った方がいい。一度きりなら、借りた方が合理的です。
| 装備 | 購入した場合 | 当社で借りた場合 (1泊2日) |
|---|---|---|
| トレッキングシューズ | 15,000〜30,000円 | 1,300円 |
| レインウェア(上下) | 20,000〜50,000円 | 1,300円 |
| リュック 30L(カバー付) | 10,000〜25,000円 | 1,000円 |
| トレッキングポール | 6,000〜15,000円 | 1,000円(2本1組) |
| ヘッドライト | 3,000〜8,000円 | 500円 |
| 合計 | 54,000〜128,000円 | 5,100円 5点セットなら 4,500円 |
屋久島の登山だけのために揃えるなら、レンタルがおすすめです。
また、何年も履いていない登山靴が家にある場合も、借りた方が安全です。ソールは使わなくても劣化します。屋久島まで来て、山の中で靴底が剥がれてしまうと、その日の登山はそこで終わりです。
一方で、これから登山を続けるつもりなら、購入をおすすめします。常に使う物に慣れておくことが大事です。
「屋久島で本格的な登山に初挑戦。これからも続けるかもしれない」という方は、まず本格装備をレンタルでお試しください。