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月に35日雨が降る

雨の多い屋久島よく、「屋久島は月に35日雨が降る」と言われます。


これは大正から昭和にかけて活躍した女流作家 林芙美子の「浮雲」という小説に出てくる一文が引用されたもので、この林芙美子女史も実際に昭和25年4月に来島されています。


最近ではこの一文が拡大されて年に365日雨が降るとも言われていますが、屋久島の4月という季節は「木の芽流し」と呼ばれ、シトシト雨が降り続けるシーズンにあたります。

林芙美子女史は屋久島滞在中ほとんど外出する事もなく、予定を切り上げて島を発つほどですから、毎日の様に雨が降り続けていた事が想像できます。


私たちの記憶に新しいのは令和元年5月18日に起きた大雨です。

この大雨の影響により縄文杉とヤクスギランドに向かう道路が土砂崩れを起こし、その日山に登っていた300名近くの登山者が登山口に残され、翌日自衛隊や警察、消防により救助された事件がありました。かくいう私もその日山に入っており、この災害は記憶に新しい出来事です。


この記事を書いている日も、早朝から風呂おけをひっくり返した様な雨が朝から昼にかけて降り続け、登山口に向かうシャトルバスも運休になりました、そして明日も運休が決定しているところです。


雨により屋久島旅行の目玉にしていた登山に行けなくなったりと、来島された方はガッカリして肩を落としてしまいます。2泊3日、3泊4日の旅行期間中雨でほとんど何処にも行けずに屋久島の旅を終える人も少なくありません。


私達もせっかく来島頂いたのにという残念な気持ちになってしまいます。


しかし、この屋久島の森を育てたのもやはりこの雨で、店のそばをとうとうと流れる安房川を眺めていると、残念な気持ちが不思議と穏やかになってきます。


かの女流作家も、皇室の方も、著名な植物学者も、年間何十万人という観光客の方も、この島の自然に惹かれ来島されます。

その惹かれた自然の源ともいえる雨により旅の予定が思う様にいかないという皮肉。

安房川を眺めながらそんな事を考えていると、逸り、浮足立つ旅を、雨が半ば強制的にペースダウンさせ、もっとゆっくり過ごして良いんじゃないかと屋久島に言われている様な気さえもしてきます。


雨は陰鬱の気持ちにさせられる物ですが、こんな雨の日は是非屋久島の滝巡りなどされてください。山に行けなかった残念な気持ちや、雨の陰鬱さを一瞬で吹き飛ばしてくれる景色が待っていますよ。


梅雨が明ければすぐに夏が来ます。


夏が終わればあっという間に秋、冬と本当に一年は早い。


今日の雨も明日の雨も、明後日の雨もいつ止むかもわからないこの雨も、島に来たら自然に抱かれるままに暮らしましょう。



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持ち物は旅の仲間

自然は美しい。 太陽は毎日、水平線の向こうから優しくも強烈なエネルギーで朝を送りだし、夜になれば地上を惜しむかの様に寂しそうに赤く輝く。 太陽が沈まば、太陽に取って変わって凛とした月が夜空に現れる。 星達も月に負けじと輝いている。 今の季節は冬の寒さをじっと耐えてきた花々が咲き乱れ、日を追うごとに鮮やかな新緑が森を埋め尽くし、鳥たちが春の訪れを嬉しそうに賛美する。 海の波は何万キロもの旅をして海岸